十年ぶりの再会

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十年ぶりの再会
|訪問
「やっだぁ、私ってこんなにほっぺたぷにぷにだったんだっけー?」


そう言って私のほっぺをひたすらつついて遊んでいるこのお姉さん。突然私の机の引き出しから現れては、部屋を見て「懐かしい!」と叫んだり、こうして私で遊んだり。

お姉さんは『十年後の私』だと自己紹介した。
ということは、私は今八歳だからお姉さんは十八歳。

「受験勉強辛くってさ。小学生のときは楽しかったなぁ。勉強なんてしなくてよかったし。」

小学生も小学生なりに悩みがある、ということを無視してくれちゃってます。
今こうして考えてることも、そのうち忘れちゃうのかなぁ?

「あのね、制服がかわいいからって西高を受験しないほうがいいよ。あそこ、ろくな授業してくれないから。おかげで受験勉強苦労してるんだよ。」



「あのぉ、お姉さんはいつまでいるの?」
「あ、そうだよね、いい加減勉強しろよって感じだよね。」

やっと私のほっぺから手を離し、来たときの逆。
つまり机の引き出しの中に入っていくお姉さん。

「ばいばーい。」

手を振るお姉さん。







あの日のことをふと思い出す。


今、西高に通ってて苦労してます。受験勉強が辛いよ。やっぱり小さいころのことって忘れてしまうんだね。でもこうしてふと思い出す。

あのときのお姉さんは今の私。

ほっぺたがぷにぷにの私に会いに行こう。

机の引き出しにもぐりこむ。