くらりくらりと眩暈体験

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眩暈

嗚呼。

いつものような(いつも通りになって欲しくないのだけれど)
長い

長い 長い 長い 長すぎる 、校長の話。

何が悲しくて太陽光の突き刺す校庭で、
朝会と称して
あの校長の長い(以下略)を
聞かなきゃいけないの!?


もうじき二十分突破しそうな話。

いろんな意味で限界の私達。

早く終われとハゲ頭に念を送る。

むしろ呪いでも送ろうか…


目の前にあった頭がふっと堕ちた。
先生が駆け寄ってきて(相変わらず校長の話は続いている)
彼女を陰へと運んでゆく。





ねぇ、よくない?

ああ言う風にふっと倒れちゃうような子。

"はっこう"の美少女っての?

…え?

発酵!?

薄幸よ、薄幸。

立ち眩み起こして倒れちゃうような。
…そうよ。そんな儚げな子を私は目指す。

今決めた!


『倒れれば朝会出なくて済むしね。』


え?

あ、そういう利点もあったわね。

とりあえず眩暈よ。

私、健康体だから眩暈なんて起こしたことないのよね。

どうやって立ち眩み起こすの?

どうやったら眩暈に襲われるの??


教えて!

…こら、教えろー!!





私は乳白色の湯に体を沈めた。

友人はお風呂に入ってるときに
換気扇の枠がとれかかっていたのを直そうとしたら
眩暈に襲われたと言った。

さぁ、私もやってみようじゃないか。


やわらかく風呂場を照らす電灯に向かって
手を伸ばしてみる。

特に何もないのだけれど眩暈を起こすために。



友人の言葉通り私は眩暈に襲われた。


やわらかかったはずの光が眉間に突き刺さる。
目の前が真っ白になり、
ノイズが除去されるように景色が少しずつ帰ってくる。

頭がずきずきして立っていられずに浴槽の淵に頭を預けた。




これが眩暈ね。

オーライ、分かったわよ。


『目指せ!儚げな美少女計画』
第一弾終了。
儚げな美少女になるための経験値を
十三、手に入れた!